庭木の松を育てるのに知っておいたほうが良い理由は

手入れのコツ

造園屋に通うようになって3年、やっと庭木の何たるかが少しはわかってきたがまだまだです、でもどうせやるなら原理をわかって行うほうが面白いものです。

今回は夢中で実践で学んできた松の基本の性質に付いて取り上げます。

庭木を育てるには樹木の基本性質を知っておいたほうが良い理由

 

庭にある松のことを簡単に言うと

 

松という木は乾燥気味の壌土を好むと言われるが、実際には水田脇の水湿地に生えていることも多く、庭で土に対する適応性は広い木です。

黒松は光を好む樹種で『黒松の最大の肥料は太陽だ』言われるくらい光が大好き。
日照の悪いところは生育が悪いばかりか枝ぶりが荒くなり羽振りも落ちる。

赤松に対し黒松は男松と呼ばれるか日照の悪いところでは男松らしい雄々しさは現れない。

古い枝は胴吹きが出にくい

 

幹吹きと胴吹きとどう違うの?

 

幹や枝が生育していくとその先端に芽をつける。ところがこの芽以外にも中間からも芽を吹くことがあるこの芽を幹から出たものを幹吹き枝から出たものを胴吹きと言って区別できます。

 

胴吹きの性質をというと、松の枝は先を切ると胴吹き芽を出して再生する力を持ている、ところがどんなに古い枝からも胴吹き芽が再生するかかといえば、当然木の老化の程度で違いがあるのがわかる。

年数を経た枝からは胴吹きがでにくく若木は出やすい。このときに胴吹き芽が出やすいのは3から4年目までの枝ということになります。

5年以上たった枝からは枝分かれした節のところから稀に出ることがあるが普通は出にくいもの。

したがって、葉のついた葉のついた部分が先の方へ離れていった場合は剥げた部分に胴吹き芽を出させて再生させることができるのは3年くらいが限度。

5年以上たった古い枝からはほとんど期待ができないので、このハゲた部分を隠すために他の枝を誘引する
ことが必要になります。

・幹から出たものを幹吹き
・胴から出たものを胴吹き
・胴吹き芽が出やすいのは3年目から4年目まで

葉の寿命は2年

松の葉はクロマツ、アカマツで2枚、五葉松で5枚であるが、実はこの葉は枝となって伸びるはずのものが凝縮された形であり、つまりクロマツでは、たんに2枚の葉があるというだけでなく2枚の葉の真ん中に成長点を持てることになります。

葉のある所に芽があると考えていいわけです。

木の葉のあるところの成長点はいつ頃まで伸び出せる可能性を持っているのだろうか?

春になると松の新芽が棒状に伸びてくるこの棒状の新芽のことを『みどり』という
春に新芽が広がって緑が伸びだしてくるとそこから新しい葉が展開して来る。その葉は翌年の冬に落ちるのが通常だが松の葉の寿命は2年程度であることがわかる。

葉が残っている限り葉の間にある成長点は伸び出せる可能生を持ているので夏までに上を切って養分が集中するようにすると葉が残っていれば2年目になっても必ずそこから芽を吹かせることができる。

葉が落ちてしまえば葉の間の成長点は当然葉と一緒に落ちているからそこから芽を吹かせることは
簡単にはできなくなっている。

ということで、葉が残っている限り葉の間の成長点は伸びだす可能性があること
葉が落ちてしまった枝から胴吹き芽が出る可能性は3から4年目まではあること
という2つの松の性質の上に毎年の手入れの方法が組み立てられている。

 

・葉のある所に芽がある
・春になると松の新芽が棒状に伸びてくる、これをみどりという
・葉が残っている限り間にある成長点は伸び出せる可能性を持っている

みどり摘みの原理は面白い

一般に松の木は幹や枝の先端から緑を出す、これを放任しておけばそのみどりが伸び切った先端から翌春新しいみどりが発せしてくることになることで丈や幅を増していく。

 

みどりは普通なら、中心にある一本の芽は長く、その周囲を多数の小さなみどりが取り巻いてくることになり強い芽は芯になり弱い芽は脇芽になる。すなわち芽の長さは伸びていく枝の長さの程度を表していることに、そこでみどりを摘み取ってしまえばそのぶんだけ枝の伸びる長さが制限されることになります。

この原理を応用していけば摘み取る量を加減していけば自分の希望する枝間隔が自由に調整できることになり、このみどり摘みの原理は松の仕立て方の基本になります。

・幹や枝の先端からみどりを出す
・放任しておけば翌年その先端からまたみどりを出して松は大きくなる
・中心にある1本の目は長く芯になる
・周りは脇芽になる
・芽の長さは伸びていく枝の長さの程度を表す
・摘み取れば枝の長さは制限される
・この原理を応用して枝間隔を調整される

枝の選び方

自然に放任した松の木は、一箇所から車状にたくさん枝分かれしている。幹や枝の先端から毎年春にみどりが出てくる。

みどりというのは棒状の松の芽のことで、車状に出てくるのが普通で、こうしながら一箇所から数本の車枝を出しながら松は上へ上へと丈を高めて行くのです。

庭木として仕立てるためには、この車状の枝を整理して要らない枝を整理していく必要があるので枝配りは下枝から上枝に順に行うのが原則であるので先ずは、一番下の枝を見てその段の車枝のうち勢い・方向を考えどの枝を残すのかを決めるのが枝の選び方のポイントになる。

・車状に出てきた要らない枝を整理
・下枝から上枝の順番で行う
・勢い、方向を考えながら残す枝を決める

横向きの枝を残す

 

どの枝を残せばいいのかわからない

斜め上向きに出ている枝はその枝が幹に近い位置にあればあるほど後で幹を脅かす存在になる危険性があるので上向き程度の大きな枝ほど幹と競合して養分は幹に負けない勢いでこの枝にも上がっていく。

 

直幹では幹がまっすぐ上向きだから最も強く斜め上向きに出る枝はこれよりは弱い。春にみどりが伸びだす時期に見ていると中心のみどりが最も強く脇のみどりはそれよりも弱くなっている。

それをミドリ摘みで芯をとめられたため葉の中の成長点がみどりになている幹になるものと枝になるものに分けられる、つまり何本かの強い上向きの枝と弱い水平方向の枝が出ている

このときには芯にする枝を決めて他の枝は早めに切り取ってやる必要がある、幹に近く斜め上向きに出ている枝はあとで引っ張ったり枝先を引いたりしたりと手間がかかるので、なるべくほぼ水平方向に出ている枝を選ぶようにするのがいいです。

・斜め上向きに出ている枝を切る
・幹に近い上向き枝は後で手間がかかる
・水平方向に出ている枝を選ぶ

まとめ

まだ松のことを何がなんだかわからないときには、どうしてこの作業をしているんだろうか、このみどりを摘む意味はどこにあるんだろうかなどと考えながら行っていました。

でも松のミドリ摘みをすることで幅の調整をしたり成長を制限したりできることを学ぶと実にみどり摘みがとても面白いものになってきます、

お客様のお庭に行き決して広くない所にある松の木にのぼりみどりを摘むのも面白くなってこの幅くらいでいいかななどとイメージしながら摘んで行く作業はとっても下向きで地味ですがこの作業はやりがいがあります。

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